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help リーダーに追加 RSS 振り回しても振り回されるな。「NO MORE HEROES/ノーモア★ヒーローズ」

<<   作成日時 : 2007/12/15 00:00   >>

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■Wii:「NO MORE HEROES/ノーモア★ヒーローズ」 MMV/ghm


須田剛一という人は、案外バランスの取れた人なのかもしれない。
彼の手がける作品は、常に攻撃的かつアバンギャルドな性質を持ち、
映像、音楽、シナリオなど、どこを切り落としても他に類を見ない
独創性を有している。それだけに、彼の作品はプレイヤーを選り好みする
傾向が強く、なかなか大衆的な作品には成り辛い。
そんな人間が、Wiiというゲーム機でどんなゲームを作るのか、
僕には非常に興味があった。「Killer7」 という猛毒に中てられながらも、
その独特の世界観が癖になってしまった僕の目の前に現れた
「NO MORE HEROES」は、意外にも“まっとう”なゲームであった。
尖ったゲームを作ることで定評のある須田氏だが、このゲームは、
Wiiという尖ったハードを見事に丸め込んでいるのである。

---[ 不要なアクを殺した馬鹿ゲーライクな須田ワールド ]---

とは言え、相変わらずの須田節は健在である。
独特な台詞回しの中に添えられる背徳的ユーモアは、
大人向けのビターな味付けながら、癖になると抜けられない
魅力を持っている。しかし、「Killer7」の時に見られたような
強烈なアクは、完全に鳴りを潜めている。
独特な雰囲気を醸し出す映像世界の中で繰り広げられる、
お馬鹿な演出が、ブラックコーヒーに溶け込むミルクのように、
尖った刺激を緩和させ、とても飲みやすくしてくれているのだ。
それは、とことん軟派で飄々とした主人公トラヴィスの性格にも
反映されているように感じられる。これも全て、
「大衆ウケするゲームが作りたい」という須田氏の意向が、
大きく反映されているからなのだろう。

登場する脇役たちも、トラヴィスに負けず劣らぬ個性派揃いで、
次はどんなぶっ飛んだ奴が出てくるのか楽しみで仕方がない。
他所のゲームでは見られない演出も、相変わらずのバタ臭さで、
音楽からロード待ち画面に至るまで“こだわり”を感じさせる作りは、
まさに須田ゲー独特の味である。グラフィック面でやや弱い部分が
あるのは否めないが、それもアリだと思えてしまうのは、
きっちり作りこまれた世界観があるからこそであろう。
・・・・まぁ、グラフィックは良いに越したことはないと思うが。

---[ Wiiリモコンに振り回されないコントロールデザインのお手本 ]---

Wiiリモコンの使い方も、非常に独特で面白い。
「Wii Sports」の影響が大きすぎるのか、Wiiリモコンは振って使うもの、
という先入観が、ユーザーのみならず、ゲームを作る人たちの間にも
蔓延している感が強い。事実、Wiiリモコンを振り回して使うよう
デザインされたゲームの多くが失敗に終わっている現実は、
Wiiを応援したい人から見ても、目を覆いたくなるような惨状である。
そんな中で、Wiiリモコンを極めて正しく活用しているゲームが、
ここへ来てようやく登場したことは、非常に喜ばしいことだと言えるだろう。

基本動作に“振り”を採用するのは、「Wii Sports」のようなタイトルなら
いざ知らず、従来型のゲームには適さないことは、過去の実例を見ても
明らかである。もちろん今後、そういう“振り”を活用した革新的な
ゲームが出ないとは限らないが、少なくとも、それまでボタンで行っていた
動作を“振り”に割り当てるというやり方では、うまくいかないのではないだろうか。
それを証明するかのように、このゲームは基本動作の多くがボタンに
割り振られている。そして、その選択の正しさは、このゲームのプレイ環境が
非常に快適なものであるという事実が物語っているのである。

しかし、“振り”の動作が採用されていないのかというと、そうではない。
Aボタンで通常攻撃を行い、相手の体力を0にすると、画面に矢印が表示される。
その矢印の方向にWiiリモコンを振ると、相手にトドメを差すことが出来るのだ。
通常の攻撃はボタンで行い、最後のキメ部分にだけ“振り”を採用する。
これが意外にも、なかなかに気持ちの良い代物なのである。
もちろん、ボタンで代用できなくはないだろうが、実際に“振る”ことで、
ボタンを押し込むだけとは少し違った爽快感が味わえる。
また、トドメを差すごとに、画面下に表示されたスロットが回転。
マークが揃うと、ダークサイド・モードという特殊な能力が目覚め、
超人的な技を繰り出すことが可能になる。使える技は、スロットで
並んだマークによって変化するのだが、どれも他に類を見ない
個性的な技が揃っていて、これはこれで面白い。

“振り”を使った操作は、これだけではない。
Bボタンで出せる打撃技をヒットさせると、相手を気絶させることが出来る。
その状態で再びBを押すと、プロレス技を繰り出すことが可能なのである。
プロレス技に移行すると、ヌンチャク、Wiiリモコンの両方に矢印が表示され、
支持された方向に同時に動かすと、豪快なプロレス技を繰り出せる。
ヌンチャクとWiiリモコンの動きは、実際の技を出すときの腕の動きと
連動しており、スープレックスの場合は、ヌンチャクとリモコン、
両方を方向に同時に振り上げれば良いことになる。

画像

プロレス技の入力は、難解な技ほど入力も難しくなるのだが、
はっきり言って、こちらの爽快感は単にトドメを差すだけとは
比べ物にならない勢いで、多くのプレイヤーは、通常攻撃に
打撃技を絡めて相手を気絶させ、プロレス技へ移行する戦い方に
なっていくのではないだろうか。それくらい気持ちいい。
このプロレス技は、対ボス戦でも重要なスキルとなってくるので、
是非ともマスターして、ガンガン決めてやって欲しい。

これ以外にも、鍔迫り合いやビーム・カタナの充電、
筋力トレーニングのミニゲームなど、様々な場所に
振り操作は採用されているが、無理なく自然に導入されていて
非常に好感触。また、Wiiリモコンについたスピーカーを使った
仕掛けも、サードパーティーで採用したのはコレが最初かな?
違っていたら申し訳ないが、全然アリなのではないだろうか。
特にビーム・カタナの充電は、銃ゲーには欠かせないリロードと
非常に良く似たゲーム性を提供していて、調子に乗って
電力を切らせてしまうと、それこそ必死で振り回さなければ
ならなくなる為、こまめな充電が必要になってくる。
充電の際の振りは、ゲーム的には横振りを推奨しているのだが、
男なら黙って縦に振るべし。なに、縦振りは横振りより疲れるだと?
何を言い出すかと思えば。お前ら、毎晩のように鍛えているはずだろう。
嘘をついても、先生には分かるんだぞ。

---[ 作りこみの甘さが目立つアドベンチャーパート ]---

一方で、移動やアルバイトを行うアドベンチャーパートに関しては、
やや作りに粗さが目立つ。移動手段は主にバイクなのだが、
障害物に引っかかり易い。まぁ、引っかかるようなオブジェは
そう多くないし、引っかかっても破壊できるものが多いので、
抜け出すのは簡単なのだが、それでも、プレイ時間の多くを
費やす移動のことだけに、やはりストレスを感じてしまうことがある。
アルバイトミッションを含めたお仕事も、成功失敗に関わらず、
窓口で請けなおさなければならないため、同じ場所を何度も
往復させられることになり、移動のストレスも小さくない。
簡易マップも、デザイン的に決して見やすいとは言えないし・・・。
トラヴィスの衣装を購入できるブティックや武器屋など、
ランキング戦の登録料以外にもお金を使う場面が多いだけに、
この辺は、もう少し丁寧な仕事をして欲しかった。

---[ 撃沈を続ける振りゲーの中にあって、本当に貴重な成功例 ]---

僕の中でこのゲームは、強烈な個性を放つ須田剛一プロデュースの
作品であるということより、Wiiリモコンを極めて理想的な形で利用した
ゲームという点に、大きな価値があるような気がしている。
基本的な操作はボタンに委ね、モーションセンサーが活かせる部分では
思い切り利用するメリハリの良さは、特筆されるべきものだと思う。

もちろん、SUDA51プロデュースらしい独特の世界観も大きな魅力だし、
彼の生み出すテキストや演出、キャラクターデザインやモーションが、
ゲームの爽快感に繋がっていることは間違いないところ。
ただ、Wiiのゲームを手がけるクリエイターの多くが、
『Wiiでゲームを出すのなら、Wiiらしいゲームでなければならない』。
そんな強迫観念に縛られているんじゃないかと思うほど、
これまで多くのゲームが撃沈してきた中で、Wii発売から1年。
Wiiリモコンの特性を正しく活用する為の方法論を構築する上で、
手本となりそうな貴重なタイトルが登場したことは、
非常に嬉しいことである。

このゲームが企画された当時、供給されるハードは決まっていなかった
須田氏は語っているが、 氏にとってWiiリモコンは特別な入力装置ではなく、
ポインティング・デバイスとモーションセンサーの搭載された、
少し変わったコントローラーという程度の認識だったんじゃないかと思う。
だからこそ、モーションセンシング機能ありきのデザインではなく、
Wiiリモコンの特性と遊びやすさとのバランスを考えながら、
コントロールデザインの中に落とし込んで行ったのではないだろうか。
事実、このゲームには、ポインティング機能を使っても良かったんじゃないかと
思える要素も含まれているのだが、採用はされていない。
それは、いきなりWiiリモコンをテレビに向けても、センサーが感知するまでに
若干のタイムラグが生じてしまうことを踏まえてのことだろうと思う。
それでいて、「じゃあクラシックコントローラーでいいじゃん」とは
決して思わせないものに仕上がっているのも、非常に好感触である。

とまぁ、ここまで色々と書いてきたが、ゲームとしては無難な良作。
ストイックさという点に於いては、前作「Killer7」に劣るが、
その分、大きく間口の広がったスマートなアクションアドベンチャー。
名うてのゲーマー諸兄には少し物足りなかったようだが、
気軽にゲームの雰囲気、世界観を楽しみたいユーザーなら
充分に楽しめる内容であることは間違いない。
機会があれば、是非とも触ってもらいたいタイトルである。

オススメ度:★★★★★★★★☆☆

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